介入

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ヘアワックスの容器を開けて中身を適量手に取り、軽く髪型を整える。 幸い立つくらいに俺の髪は短いから簡単に散らすくらいでいい。 しかしこうしてヘアワックスを使うのもかなり久しぶりな気がする。 休みの日は家で寝てることが多い。 たまに出掛けでも自炊が面倒になってコンビニへ飯を買いに行くくらいだ。 たかが徒歩数分のコンビニに行くのにわざわざきちんとした格好なんてする必要もない。 そんな俺だが高校の時はまわりに合わせて髪型もちゃんとしてたし私服だって気を遣ってたりした。 正直言えばバカバカしいと思ってたね。 髪を切るのに野口英世が何枚も飛んでいき、服を買うのには福沢諭吉まで飛んでいく。 金を掛けて似たような髪型や服装にして何が面白いんだか俺には理解不能だ。 それでも人間というやつは自分が他人と違うことを恐れているのか自然と周りに合わせちまう。 それが嫌で俺は友人達とも上辺だけの付き合いを繰り返していた。 付き合いが悪くならない程度に距離を置いて過ごしていた高校時代。 自慢じゃないが子供にしては上手くやれていたと思う。 おっと、いつの間にか考え込んでいたようだ。 早く行かないと遅刻しちまうな。 せっかくの夢だ、廊下に立たされて終わりなんて空しすぎる。 リビング兼寝室に戻り、やはり何故か用意されていたスクールバックを片手に俺は家を出た。
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