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外はザァザァと音を立てて雨が降っている。 「はぁ…最悪」 いつも入ってるはずの折り畳み傘が鞄に無く、仕方なく止むのを待つ事にした。 ツインテールを揺らしながら、窓辺に近付き、空を見上げる。 「早く止まないかな…」 静かな教室…いや、学校自体が静かなのだ。 会議などで、ほとんどの教員は外に出ているらしい。 バタバタバタバタ…!!! 「ッ!?」 急に聞こえて来たのは誰かが走り去る音。 聞き間違えで無ければ、二人いた。 「何…?」 恐怖で僅かだが、声が震えている。 怖い。 でも、嫌な予感がする。 何かに引き付けられてるかのように、少女は教室から出た。 着いた場所は、体育館。 なんとなくだが、体育館に走り去った生徒がいるような気がした。 人の気配は無い。 物音すら聞こえない。 聞こえるのは、少女の荒い呼吸音だけ。 肩で息している少女は息を整えると、ゆっくりだが歩く。 鍵が掛かってるであろう物置部屋、薄暗いステージ、放送室。 見渡す限り隠れれそうな場所はそこだけ。 「放送室に行ってみようかな…」 なんとなくだが、そこに何かあるような気がした。 静かにドアノブを回し、扉を開き、放送室へ続く階段を静かに昇る。 放送室の扉を開こうとドアノブを掴んだ瞬間、灯りが消えた。 「え…?」 少女は思わずドアノブから手を離す。 (照明って、確か放送室の中でしか操作出来ないはず…) つまり、誰かがいる。 ガチャ キィィイ… 放送室の扉が勝手に開く。 真っ暗で何も見えないが、意を決して中に入る。 「…誰も居ないの?」 辺りを見渡すが人の気配は無い。 「なんだ、ただの停電かぁ」 安堵の溜め息を吐くと、出口へ向かう。 だが、何かによって、奥へ吹き飛ばされる。
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