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きたよ」 睦月は、はぁと溜め息をわざとらしく吐く。 「だから、ここに逃げてきたんだ。まぁ…あの怪我じゃ立てないと思うけどね?」 睦月は、ははっと笑う。 「…!?優に何かしたの!?」 紫姫は思わず叫んでしまった。 「……なんで…あんな虫けらの心配するのかな…?」 紫姫の言葉に睦月が怒りを露にする。 「だってそれは…っ!!」 …そこで言葉が出なくなってしまった。 優が心配、その一言が言えない。 「…ねぇ………なんで?」 「…っ!」 肩に回された腕が解かれ、バンッ!と大きな音を立てて紫姫の顔の横に移動していた。 つまり、逃げれないようにされたのだ。 「…ムカツク……」 睦月の少し長い後ろ髪を縛っている紐が解かれた。 そして… 「紫姫は僕だけのモノ」 反論しようとした だが、 反論"しようとした"だけであって、それは"反論した"ではない。 いや、出来なかったのだ。 「ッ……………!」 睦月は紫姫の口を自らの口で封じた。 唇を割って侵入したのは睦月の紛れもない味覚器を絡め取った。 「くる…し」 紫姫は睦月の胸を叩く。 「はぁ…は…ッ!?」 やっと自由になった唇は、睦月の髪を縛っていた紐によって塞がれる。 睦月の唇は首へと下がり、印をつけた。 「…ねぇ、紫姫は…誰のものなの…?僕のもの?それとも…」 そこまで言うと、睦月は口を閉ざした。
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