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リンゴを両手に一つづつ抱えて戻った、ずぶ濡れの誠司を見て彼女は、ひどく驚いたようだった。
「あの……」
「あっ、失敗した。そのレインコートを借りて頭にかぶれば良かったですね。ばかだな、僕は……。はい、これ」
そんなことを言いながら誠司はリンゴを袋に戻し、女性に手渡した。
「あの……これを使って下さい」
彼女はタオル地のハンカチを差し出した。
「ああ、すみません。どうも僕は……」
「はいっ?」
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