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「そうですか。だけど、少しじっとして様子をみたほうがいい。僕に任せて下さい」
そう言って、誠司はシャッターの降りた店舗の前に自転車を立ててから、歩道に散らばった食料品を集め始めた。
「すみません。ご親切に、ありがとうございます」
女性は痛めた足をかばい、ふらつきながらも立って何度も頭を下げた。
「いえ、これぐらいのことは」
誠司は、車道に転がり出たリンゴを見つけて、それも回収しようと道路に飛び出した。
「あっ!」
女性が小さく声を上げた。
豪雨の中、道路に出るとは予想していなかったのだろう。
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