運命の歯車

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運命の歯車

1560年代のイギリス…エリザベス1世の時代… ヘレンはキチェフ家でメイドをしていた。 このキチェフ家は、女王とのつながりがとても深い。 なぜ、ここまで地位を高くすることが出来たのかは謎だが、 夫人が一番権力を持っていることは明確だった。 キチェフ夫人…この人は、いわば女王のお気に入り… 毎日お城に出かけては新しいドレスを注文してくる。 自由奔放、わがまま放題。 機嫌が悪いとメイド達にあたりちらし、 少しでも気に食わないとすぐにやめさせてしまう。 こんな夫人に仕えるのは、本当に大変。 キチェフ夫人のベルの音… この音がしたら、何をしていてもすぐに駆けつけないといけない。 チリリリン…またあの音が… 容赦なくなり続けるベルの音に毎日神経を尖らせる。 少しでも遅れるものなら、夫人のお小言地獄がはじまってしまう。 行き場のないヘレンはここにいるより他がなかった。
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