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朝、妙な胸騒ぎで目が覚めた。
何だか変な夢を見てたような気もする。内容は覚えてないけど、愉快な夢ではなかったのは確かだ。
胸騒ぎの原因を探るため、半分寝ぼけた頭を軽く振り、私はベッドに腰掛けた。
シンプルな長方形の室内を見渡してみる。
ポスターなどの装飾品が一切排除された白い壁、そしてうっすら埃がたまったフローリングの上に、今自分が座っているベッド、服が入りきらなくて半分ドアが開いている洋服箪笥、化粧品が無造作に並べられている鏡台がある。
更には床の隙間を埋めるかのように、読みかけの雑誌が数冊積み上げられ、その上に昨日脱ぎ捨てたブラウスが乗っかっていた。
「うん、汚い」
しばらく掃除しない間に、こんなにも室内が荒れていた事実に軽く落ち込む。
「掃除しないと、ね」また今度ね、というお決まりの文句を自分に言い聞かす。
しかし、見たところ胸騒ぎの原因になるものは何もない。
残念ながら、部屋が汚れているくらいで神経質になるほど繊細な感性は持ち合わせていない。
じゃあ、何が原因なんだ?
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