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「ここは地獄」
荒い息をつくユキを余所に、フーギーシードは静かに言った。
ユキはさらに激昂し、叫ぶ。
「それはさっき聞いた! その前にも聞いた!! 三回…」
「詳しく言うよ」
叫びを遮り、再びフーギーシードが口を開く。
それには、有無を言わさぬ重みがあった。
「ここは地獄の第七階層、暴力者の地獄」
ここでフーギーシードは一度切り、ユキを見詰めた。
ユキは、急に出てきた聞き覚えの無い単語を理解できないでいた。
構わずにフーギーシードは続ける。
「自己に対する暴力――つまり」
しかし、次にフーギーシードの口から放たれた言葉は容易に理解することが出来た。
身に覚えがあったから――。
「自分殺し、という重罪を犯した者達が墜とされる――自殺者の森さ――」
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