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屈んだ巨人は、心なしかプルプルしながら急かすように言う。
「まあまあ、速く乗ってよ。この体勢は結構辛いんだ」
ユキは少しの間悩んだが、結局フーギーシードに肩に腰掛けた。
「す、座ったよ。大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「私がしてるのは自分の心配よ…」
ユキは溜め息を吐いた。
フーギーシードは気にした風も無く体を起こす。
だが、その高さはせいぜい三メートル弱。恐怖を感じるには十分だが、森を見下ろすには至らない。
肩という不安定な箇所に座っているユキが、若干怯えながら訊ねる。
「…伸びるって、どういう意味?」
「言葉通りさ」
一言だけの返答と同時に、巨人の身長が急激に伸びた。
声に成らない悲鳴をユキが上げる。
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