同じ罪状、違う反応

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男の呼び掛けに、ノロノロと身体を起こす四人。 少しの間、五人は混乱しているような様子で互いの顔を見合ったりしていたが、やがて興奮しながら雑談を始めた。 「スゲェ、スゲェよ! 死後の世界あったんだ~!」 背は高いが、どこか影の薄い男。 「…やばい、私、ちょっと今泣きそうかも」 大人しい、落ち着いたといった表現がピッタリな、学生風の女性。 「ここ、天国でしょうかね?」 背広を着た中年男性。 「ミコト! 賭けは俺の勝ちだな!」 最近の若者、といった風な少年。 「うわー…マジで? 凄いけど、これからどうすんのよ…」 ミコトと呼ばれた、気だるげな少女。 少年と少女、中年一人に若者が二人。 五人は思い思いに喋り続ける。 地獄の底で。
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