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ミコトを除いた四人はミコトを除いた四人は、ポカン、と緑色の巨人を見ている。
「…地獄?」
沈黙を破ったのは少年だった。
突然の巨人の出現と、地獄という単語に、混乱しているようだ。
「そう、地獄。間違っても天国じゃないからね」
「ふ、ふざけんな! お前なんなんだよ!」
ケロリと返す巨人に、影の薄い青年がどもりながらも喰いかかる。
「ここが地獄? どう見ても天国じゃないですか?」
大人しそうな女性が続く。
その顔は毅然としたもので、自分は正しい事を言っている、という風だった。
「あなた、誰なんですか?」
さらに続く中年男性。
発言しながらも自信がないのか、僅かに後退りするのがフーギーシードからはよく見えた。
「大体地獄ってどういう」
再び口を開いた青年の言葉を、
「――黙れ」
フーギーシードの厳かな声が遮る。
その体躯から来る低く重い言葉は、五人を威圧するには十分だった。
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