同じ罪状、違う反応

5/8
前へ
/316ページ
次へ
ミコトを除いた四人はミコトを除いた四人は、ポカン、と緑色の巨人を見ている。 「…地獄?」 沈黙を破ったのは少年だった。 突然の巨人の出現と、地獄という単語に、混乱しているようだ。 「そう、地獄。間違っても天国じゃないからね」 「ふ、ふざけんな! お前なんなんだよ!」 ケロリと返す巨人に、影の薄い青年がどもりながらも喰いかかる。 「ここが地獄? どう見ても天国じゃないですか?」 大人しそうな女性が続く。 その顔は毅然としたもので、自分は正しい事を言っている、という風だった。 「あなた、誰なんですか?」 さらに続く中年男性。 発言しながらも自信がないのか、僅かに後退りするのがフーギーシードからはよく見えた。 「大体地獄ってどういう」 再び口を開いた青年の言葉を、 「――黙れ」 フーギーシードの厳かな声が遮る。 その体躯から来る低く重い言葉は、五人を威圧するには十分だった。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

627人が本棚に入れています
本棚に追加