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「……」
萎縮して押し黙る五人。
その顔には恐怖が滲み出ていた。
「…黙れなんて言ってごめんね。今からちゃんと説明するから、少しの間静かに聴いてくれないかな」
(やばいやばい、やっちゃった。とっとと説明して、とっとと樹になって貰おう)
「まずは自己紹介からしようか。俺の名前はフーギーシード。まあ、何とでも呼んでいいよ。じゃあ、順に名前言ってってくれるかな?」
促され、五人は困惑しながらも自己紹介を始める。
「…カトウヨシオ」
影の薄い青年。
「カトウって呼んでいいかい?」
フーギーシードの言葉に、カトウは黙って頷く。
「ミドウシホ。シホでいいです」
大人しそうな女性。
「わかった、シホね」
(意外と芯が強いタイプかな? どうでもいいけど)
「……ヨコダツトム、です。…ヨコダと呼んでください」
中年の男は、先程のフーギーシードの"黙れ"が余程利いたのか、微かに震えてさえいる。
刺激しないよう、フーギーシードは小さく頷いた。
「マエダヨシミツ。マエダでもヨシミツでも、好きな方でどーぞ」
挑戦的な自己紹介をする少年。
「じゃあヨシミツって呼ぶよ」
「ミコト」
ポツリ、と一言だけ呟いた少女。
(名前は知ってたけどね。しかし、ユキの真逆みたいな子だな)
「よろしく、ミコト」
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