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「…自殺者の森ぃ? 何だよそれ」
ヨシミツが、先を歩くミコトに聞き返した。
「だから…ここは地獄で、自殺した人が堕ちる森って言ってんの」
ミコトの説明は大雑把な物だったが、的確だ。
しかしヨシミツは合点がいかない様で首を捻る。
それを見て、ミコトは軽く溜め息を吐く。
それから、二人は特に会話の無いまましばらく歩いていたが、
「……あんた、何で着いて来てんの?」
うんざりしたように振り返るミコト。
「えぇ? だって、急にミコトがどっか歩いてっちゃうからさー」
(――いや、だからなんで着いて来んのよ…)
ミコトは声に出さず、胸中で呟く。
「別に…こんなのただの散歩。あんたさっきんとこ戻りなよ」
「ミコトはさ、なんで自殺したの? 後さっき言ってたのってマジ? 未だに天国にしか見えないんだけど…」
ミコトは軽い頭痛を覚えた。
(無視かい…)
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