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奇策外道の名を物ともせぬ尾張の織田、その織田すら歯牙にも掛けぬ、恐るべき野獣が居る。
名を武田。
甲斐の『武田信玄』。
実父から武力で家督を奪い、逆らうならば自身の弟、息子すら抹殺し、天下に覇を唱えんとする猛将。
隻眼の軍師『山本勘助』。
板垣信方を筆頭に、武田四忠臣。
武田四天王。
次子『武田勝頼』。
さらには『真田昌幸』。
その子、『真田幸村』が指揮する真田忍軍。
騎馬を主体としながらも臨機応変な武田軍団は、機動力と武力、総合的な力を備えた、まさに鬼神の如き軍団であった。
また、最大勢力である今川とも盟約を結んでおり、四方の守りにも余念は無い。
『上杉』、『斎藤』、『織田』さえ叩いてしまえば、あとは一気に京へと上り、最終的には『今川』もブチ砕き、天下を手中にする算段である!
算段である!
あくまでも、算段…。
世の中そう上手くは回らない。
新人類武将『信長』の奇策は、予測不能。はっきり言って何を考えているんだか、検討がつかない。
クソ意地の悪い『斎藤道三』は、真っ正面から相手にするのも煩わしい。
そんな奴らと殺り合った後に、果たして『今川』を倒せるだろうか?
僧籍から一転、武力と暗殺で地位を手にした『義元』は、最も油断出来ない相手だ。
隙を見せれば同盟など、容易く破って侵攻を開始するだろう。
まさに四面楚歌。
追い詰められた武田信玄(38)は、せめて『真っ当な戦』がしたいと、今日も星に願うのだった…。
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