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小十郎と一緒に別室へと向かう二人を見送り、政宗はカチャリと銀のフォークを置いた。
「…幸村様、今日の秀吉様の件ですが」
「了承して御座る。
家臣諸とも、ブッ殺しで良いので御座ろう?」
「ええ…このまま信長公に従い続けるのであれば、生かしておく価値は有りませんから」
「相討ち覚悟……
で御座るな?」
「無論です。
その為に、貴女をお呼びしました」
「拙者は利用されたワケで御座るな?」
御互いニヤリと笑う。
ここまで腹の内を明かせるのは、互いに利害が一致しているからだけでは無い。
無能を装ってはいるが、真田幸村は策士『真田昌幸』の秘蔵っ子。
腹黒さと非情さでは、政宗と然程差は無い。
「使える者は、誰でも使いますよ?
例え、それが貴女でもね?」
「ふふふ…良いで御座るよ。
そうでなければ、潰しがいが御座らんからな」
親友でライバルで、共犯者。
主君さえ欺く偽りの猛将と、目的の為なら手段を選ばない覇王。
ウマが合うようだ。
「では、本日の獲物と御対面といきましょうか?」
「もう、かような時間で御座るか?
楽しい時間は、過ぎるのが早くて困るで御座る」
ニコニコと笑顔で話ながら、食堂をあとにする二人。
尋常ならざる精神を持った二人の相手をせねばならない、秀吉が逸そ哀れであった。
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