第三変『黒家臣』

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小十郎と一緒に別室へと向かう二人を見送り、政宗はカチャリと銀のフォークを置いた。 「…幸村様、今日の秀吉様の件ですが」 「了承して御座る。 家臣諸とも、ブッ殺しで良いので御座ろう?」 「ええ…このまま信長公に従い続けるのであれば、生かしておく価値は有りませんから」 「相討ち覚悟…… で御座るな?」 「無論です。 その為に、貴女をお呼びしました」 「拙者は利用されたワケで御座るな?」 御互いニヤリと笑う。 ここまで腹の内を明かせるのは、互いに利害が一致しているからだけでは無い。 無能を装ってはいるが、真田幸村は策士『真田昌幸』の秘蔵っ子。 腹黒さと非情さでは、政宗と然程差は無い。 「使える者は、誰でも使いますよ? 例え、それが貴女でもね?」 「ふふふ…良いで御座るよ。 そうでなければ、潰しがいが御座らんからな」 親友でライバルで、共犯者。 主君さえ欺く偽りの猛将と、目的の為なら手段を選ばない覇王。 ウマが合うようだ。 「では、本日の獲物と御対面といきましょうか?」 「もう、かような時間で御座るか? 楽しい時間は、過ぎるのが早くて困るで御座る」 ニコニコと笑顔で話ながら、食堂をあとにする二人。 尋常ならざる精神を持った二人の相手をせねばならない、秀吉が逸そ哀れであった。 ・
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