壱話:巡り合い

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翌日、菓子折りを持って試衛館に向かった。 「あ…こんにちは。」 すると門の前を掃除していた惣次郎におずおずと挨拶される。 「惣次郎が掃除だとよ。…おまえは惣次郎よりも惣次の方がお似合いだな。」 そう吐き捨てると惣次郎は睨んでくる。 「そんな女々しい顔で睨まれても効かねぇっつーの。」 「…っ!!」 さらに怒りに顔が染まる。 次第に目尻に涙が溜まり、それを腕で拭う。 「泣き虫惣次。」 ぐずる惣次郎に嫌味ったらしく言い残し門をくぐっていった。 「かっちゃんは居るかー!!」 道場に足を運ぶ。 「五月蝿いと思ったら土方のガキんちょかい。」 「なんだ、爺さんしか居ねぇのかよ…。」 「勝太は今出掛けてる。…それにしても顔の痣、傑作じゃねぇか。」 ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。いろいろと顔の傷を見渡し、口を開く。 「おおよそ…奉公先の姉ちゃんと子作りしちまって、謝りに行ったら殴られたって所だな。」 「うっせーよ!!爺さんには関係ねぇだろ!?」 図星なのだが、図星だからこそ腹が立つ。 「これ、兄貴から!!」 菓子折りを突き出し、その場から立ち去った。 .
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