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翌日、菓子折りを持って試衛館に向かった。
「あ…こんにちは。」
すると門の前を掃除していた惣次郎におずおずと挨拶される。
「惣次郎が掃除だとよ。…おまえは惣次郎よりも惣次の方がお似合いだな。」
そう吐き捨てると惣次郎は睨んでくる。
「そんな女々しい顔で睨まれても効かねぇっつーの。」
「…っ!!」
さらに怒りに顔が染まる。
次第に目尻に涙が溜まり、それを腕で拭う。
「泣き虫惣次。」
ぐずる惣次郎に嫌味ったらしく言い残し門をくぐっていった。
「かっちゃんは居るかー!!」
道場に足を運ぶ。
「五月蝿いと思ったら土方のガキんちょかい。」
「なんだ、爺さんしか居ねぇのかよ…。」
「勝太は今出掛けてる。…それにしても顔の痣、傑作じゃねぇか。」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。いろいろと顔の傷を見渡し、口を開く。
「おおよそ…奉公先の姉ちゃんと子作りしちまって、謝りに行ったら殴られたって所だな。」
「うっせーよ!!爺さんには関係ねぇだろ!?」
図星なのだが、図星だからこそ腹が立つ。
「これ、兄貴から!!」
菓子折りを突き出し、その場から立ち去った。
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