壱話:巡り合い

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土方と一緒に帰路につく。 「なぁ、わざわざ何の為に来たんだ?」 みつの事だろう。 「俺も分かんねぇ…。」 近藤もなぜ来たんだか理由は分からない。 しかし近藤もそこは頭に引っ掛かった。 (白河から多摩じゃかなり距離あるのに…。) そんな疑問を持ちつつ、帰宅した。 「ただいま帰りましたー!!」 …返事が無い。 「おかしいなぁ。」 居そうな道場を探しても、台所を探してもいない。 「出掛けてんじゃねぇの?」 「いや、さっきみつさんが来たじゃないか。」 「そっか。」 とりあえず部屋に戻ろうとすると、父の部屋から話し声が聞こえた。 「義父さん、勝太です。失礼しても良いでしょうか?」 「調度良かった、入れ。」 「失礼します。」 土方を部屋の外に待たせ中に入ると、義父母と見掛けた事のない小さな子がいた。 不安そうに縮こまっている。 「この子は?」 「沖田家の長男だ。家を存続させるだけで精一杯だから預かってくれって、さっきおみつさんが連れてきた。」 「口減らし…ですか。」 このご時世、珍しい事ではない。  しかし前に沖田家を尋ねた時は小さい子一人養えない程、貧しそうには見えなかった。 「私は預かるのは反対ですからね。ただでさえ人が多いのに…ここを託児所にした覚えはありません。」 そう母は言うが、決定権があるのは父だ。 「しかし送り返すのも可哀想では…?」 そう言うとキッと睨まれる。 「まぁ、預かるか…。勝太の言うとおり送り返すのも可哀想だしな。」 「はい。」 母は落胆したように部屋から出ていった。 「悪いが勝太が面倒見てやってくんねぇか?…アイツじゃあ、な。」 そう言って苦笑いを浮かべる。 「分かりました。…部屋は?」 「空いてる所はどこでも良いぞ。」 「はい。」 そう言って小さな手を握り、部屋を出た。 .
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