壱話:巡り合い

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「おぅ…って誰ソイツ?」 出て来た近藤の隣にいる小さな子。 「沖田家の、みつさんの弟だ。」 「へぇ、男なんだ。女みてぇな面しやがって…。」 「こら、失礼だろ。仮にも武家の長男だ。俺らよりも身分は上なんだ。」 「いや、かっちゃんも失礼。仮にもって失礼極まりないじゃん。」 「あ、あの…」 ぎゃあぎゃあ二人が言い合いをしていると、控えめな声が聞こえた。 「ん、どうした?」 「私って…捨てられたんですか?」 「…あのなぁ、ガキが口減らしにこういう所に捨てていくなんて良くある事だぜ?そんな事も分かってなかったのかよ?」 「歳!!」 すごい剣幕で怒鳴られる。 さすがに言い過ぎたか。 「君、名前は?」 近藤はしゃがみこみ目線を合わせた。 「惣次郎…です。」 今にも泣きそうな程に瞳を潤ましている。 「そうか、惣次郎か…良い名前だな。惣次郎は捨てられたんじゃなくてな、お姉さんが預けてきたんだ。」 惣次郎はこくりと頷く。 「ここは試衛館っていう道場もやってるんだ。お姉さんが惣次郎を強くしてくれって頼んできたんだよ。…なぁ惣次郎、剣道好きか?」 「好き…だけど父上が駄目だって…。」 何故だろう。 武家の子なら刀を持つ事は当たり前、その為に剣道をやる事も当たり前だ。 「そうなのか…。じゃあ今から道場行こうか。歳も来いよな。」 「うん!」 「はいよ。」 近藤はこの後、惣次郎の言った言葉の意味を理解する事になる。 .
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