壱話:巡り合い

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「防具は…付けたほうがいいよな。」 「防具?」 まじまじと面や小手、胴を見る惣次郎。 「おい、ガキ…もしかして付けたこと無ぇの!?」 「はい…。」 近藤と土方は顔を見合わせた。 「なぁ、加減してやるから俺と手合わせしねぇか?もちろん防具無しで。」 「歳、それは…。」 さっきの言葉で土方は惣次郎に何かを感じていた。 底知れない何かが…。 「手加減してやるんだぞ、歳。」 「分かってるって。」 近藤は渋々了承し、二人を開始線に立たせる。 もちろん危険なので木刀ではなく竹刀だ。 「では、始め!!」 近藤が開始の合図を出した瞬間、土方が突っ込む。 「とりゃぁぁあぁぁっ!!」 土方も充分速い。 しかし… ―――――――ドサッ… 竹刀が吹っ飛び、尻餅を付く。 「げほっ、かはっ…!!」 突きをまともに鳩尾に食らい、暫く立ち上がれない。 「な、何だ…今の…。」 土方がそう声を出した瞬間、近藤は我に返ったように勝敗を言う。 「…勝負あり!!」 一礼し、下がる。 「ありがとうございました。」 速い、土方をも上回る速さ。 「すっ、すみません!大丈夫ですか!?」 「あぁ、大丈夫だ…。」 近藤の手を借りて立ち上がる。 「惣次郎…お前凄いな!!」 近藤がわしゃわしゃと惣次郎の頭を撫でる。それに惣次郎は嬉しそうに目を細めた。 「あの…だな、良ければウチの流派に入らないか?」 「え…?」 .
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