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「え、えっと…。」
困惑した表情を見せる惣次郎。
「試衛館道場の流派は天然理心流っていって、あんまり有名じゃないんだけどな…。良ければ入門してほしい。」
頭を下げる近藤に余計、たじろいでしまう。
「駄目か?」
「い、いえ…そういう訳では無いんですけど…。」
さっきからはっきりしない惣次郎に土方はだんだん苛ついてくる。
「おい、ガキ。」
「な、なんですか…?」
怯んだのか声がひっくり返る。
「なにが駄目なんだ?何隠してんだよ?」
図星なのか、顔に動揺が見え隠れしている。
「あ…貴方には関係ありませんから!!」
「俺に関係無くても、かっちゃんにはあるんだよ、何隠してんのか知りてぇんだよ!」
「こら、歳…。」
土方の言い方が強すぎて怯えてしまっている。
これでは余計に口を閉じてしまうだろう。
「なぁ、惣次郎。」
「なんですか…?」
「剣の事で何かあったのか?…言いたくなければいいんだが、気になってな。」
「すいません…。」
ひどく申し訳なさそうに惣次郎は頭を下げた。
「いや、それほど思い出したくないんだろう?」
その言葉に惣次郎はコクリと頷いた。
その思い出は酷く哀しい出来事だった。.
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