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あれから、あたしは由紀さんに会っていない。
個別で、じゃなくてサイン会にも握手会にもコンサートにもイベントにも来てない。
こっそり交わしたメールアドレスにメールしても返事は来ない
携帯にだって出てくれない。
何かがいけなかったのか、嫌われてしまったのかといろいろ考えた。
でも、あたしは落ち込んでいる暇がなかった。
真美に相談したくてもできない日が続き、苦しさでいっぱいだった。
そんな思いを抱えたまま、2年が経ち。
あたしは19歳になった、あれから一回も由紀さんを忘れたことは無い。
会えるなら、仕事を放棄してでも飛んで行きたい。
そして、なんで連絡をくれなかったのか聞き出したい。
寂しかったって言いたかった。
由紀さんのいない、サイン会が終わり移動中のバスの中マネージャーが手紙をあたしに差し出す。
白い少し厚手の封筒。
中に何か入っているようだった。
誰から来たのかと思い、裏側をみる。
「由紀さん…。」
思わず涙が出そうになったが、グッとこらえる
今泣いたら変に思われてしまう、一呼吸してからそっと封を開けた。
「結婚招待状。」
一瞬目の前が真っ暗になった
結婚?
由紀さんが?
見間違い?
封筒の差出人
桜沢 由紀
間違いない。
招待状の中身も“桜沢 由紀と 須藤 敦彦はこのたび結婚することになりました。”とはっきり書いてあった。
衝撃的すぎて声が出なかった
『…明日香?どうかした?』
招待状を手に固まったあたしを見て、マネージャーが心配そうに見つめている。
驚いたが、急にしまっては驚かれてしまうので招待状が入っていた封筒に静かにしまった。
「ううん、大丈夫です。すみません、あんまりファンレターが嬉しかったから」
作り笑顔で答えると、マネージャーは満足そうに笑って、よかった。と答えると自分の席に腰を下ろした。
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