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幸せ
・
私は今、1人の女の子を育てている。
もちろん、自分の子だ。
そして結婚もした、旦那さんはあの時死のうと思っていた時に出会った彼である。
彼の決死の返事に、適当に答えた私だったがあのあとから仕方なく付き合ったけど
とても幸せだった。
彼は、私がアイドルだった時からずっと私のことしか見てなかった。
それは付き合ってからもずっと変わらず、こんなひねくれた私に温かい愛を注ぎつづけてくれた。
そして段々、私も彼の事しか見えなくなり由紀さんの事も忘れ必死に愛を返しつづけた。
1人の母、1人の妻になってやっと気が付いた。
由紀さんの言っていた事。
『あなたの事はずっと忘れた事はなかった、でも今の旦那と出会って何もかも受け入れて・受け留めてくれる彼の事を愛さずにはいられなかった。明日香には申し訳ないけど、あなたもいつか私よりも大事に想えるような人が現れる。だから、それまでは私の事は恨んでもらっても構わない。今まで振り回してごめんね、どうか幸せになってください。』
それを言うのはどんなに辛かっただろう。
知らん振りして、いつのまにか忘れてもらう事も出来たのに。
わざわざ気まずい相手を呼び寄せて、言う事なんてなかったのに。
でも、そんな優しい人だからこそあたしは好きだったんだろうと今は思う。
由紀さんのことは、今は全く恨んでいない。
恨む事もないのだと気が付いた。
あの関係がずるずる続いたとしても、ただ傷つけて別れるだけだ。
私はこれから、今の旦那さんを支え、娘に幸せがなんであるかを長い時間を掛けて教えていこうと思う。
いつか、娘にも愛する人が出来るまで…。
----Fin ----
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