第一章 「果実荘の住人達」

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 大学とはえらく広い。 しばらくは迷子になりそうだと思った。 入学式のようなものは既に済んでいるので、今日は自分の受ける講義の場所へ行く事になる。 掲示板に貼られた地図を沢山の人が見ている中、下畑は 「俺はあっちだ。とりあえずじゃあな」 と言い、あっさり去って行った。 あっちとはどっちだと僕は地図を再び見る。 ふぅむ… あっちには沢山色々あって分からん。 僕はバッグから自分が取る講義が書いてある紙を取り出し、照らし合わせる。 「僕はこっちからかな…」 と小さく言い、周りをキョロキョロと見ながら歩きだす。 今まで何回か見てきたが、やはり大学の大きさに圧倒される。 歩いている人の中には僕みたいにキョロキョロと周りを見渡し、頼りない感じで歩いている人もいる。 きっと僕と同じ、一年生なんだろうな。 と思いつつ僕は「第三棟」とプレートがかけられている所へ入った。 そして 迷った。
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