プロローグ

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3週間前。 アパートも決まり、荷物もまとめた。 あとは引っ越し作業のみ。 と思っていた時。 プルルルルルルルル!! 家の電話が鳴った。 下にいた母が受話器を取り、電話は鳴り止む。 次に聞こえたのは小さく聞こえる母の声。 「もしもし………………はい………はい………え?」 「なんですって!?」 母の声が大きくなり、はっきりと聞こえた。 僕はびっくりした心臓を落ち着かせ、階段を下りる。 「母さん?いきなり声をあげてどうしたの?」 心配そうに聞く僕に、母は顔色を変えて、言った。 「じいちゃんが…倒れた…」 「………え!?」 言葉の意味を理解する事を脳は躊躇ったのか、僕はしばらくの沈黙の後に情けない声しか出なかった。 「実!早く準備して!!おじいちゃんの所に行くよ!!」 母はそう言い、荷物を取りに自室へ向かった。 僕も財布とケータイを取りに自分の部屋に戻った。
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