黒の体温

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「ぶふぉ!」 ――その一瞬、ものすごい振動がした。ような気がした。同時に、今通り過ぎようとしていた教室の入口から悲鳴が聞こえた。 瞬間、一人の少年が空いていたその入口から飛び出し――正確には吹き飛ばされ、向かいの壁に背中を思いっきり強打した。遥よりも断然明るい茶色の髪が至る所で跳ねている。そのまま座り込み、かなりのダメージを負ったのか動けないらしい。 「わっ!」 目の前を暴走した車が自分との距離スレスレで通り抜けた容量で遥の動きが止まる。驚いた、なんて言わなくても分かるような表情。だが次に何を思う暇もなく、また一人教室から現れた。 一瞬アイドルの女子かと思うような――クリーム色の長い髪が背中を覆い隠し、スタイルがとてもよく凹凸がしっかりしていて、顔はすぐにオーディションに受かりそうな可愛い系。 その彼女はとても爽やかにニコニコした清純系表情を保ちながら、先に出てきた少年の目線に合わせるようにしゃがみ込む。スカートの中の下着が見えないようによく計算されたしゃがみ込み方。 「刹那~そろそろ死にたいんなら私が直々に葬ってあげるよ~?」 台詞と右手をグーにして刹那と言う名の少年の目線にが少女の雰囲気と合っていない。それが遥の足を一歩退けた。 「人のパンツを公に言うなんてさ~?暗黙の了解って知ってるよね馬鹿なあなたでもさ」 「馬鹿に馬鹿なんて言われたくねーし……というかお前のが黒のフリフリなんて“あいつ”が興味あるわけねーだろというか寝てるし“あいつ”」 そこで少女が漸く益岡がいることに気付き、途端に可愛い系の顔が歪む。刹那も益岡を見て「あ、やべ」と声を漏らす。 「益岡に(パンツの色が)バレたとかないわ、どー責任とってくれんの刹那ぁ」 少女が握っていた拳に殺気と分かるようなオーラが漂っていた。遂に刹那が震えた笑い声を出し始めていた。世界が終わったような顔だ。 「待て落ち着け確かに俺が悪かった悪かったが俺を殺しても何の解決にもなりやしないお前の罪が増えるだけさそれより他にやることがあるだろそうだな例えば勉強とかお前だってやれば多分出来る出来るでごんすだから」 「天誅」 「ぬわーーーっ!」 結局、鼻と頭から血を流して刹那は死んでいたでもまんざらないように死んだフリをしていた運命は変えることは出来なかった……。
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