黒の体温

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少女は転校生だった。 今日は新しい担任と顔合わせするため、職員室を探していた。 下手すれば小学生にも見えるような外見をしているが、実質的な年齢は今年度で十六歳。 ――校舎に入ってから五分が過ぎようとしていた。しかし、未だに職員室は見当たらない。 十時半。それまでに、職員室にいって“新しい校長”と“新しい担任”に挨拶に行かなければならない。 「……ど……どうしよ……」 少女は近くにあったベンチに座り込んでしまった。 (誰かに……聞くしか……ないのかな……) 近くに見取り図があることは未だに気づいていない。 しかし見知らぬ誰かがどこにいるかも分からない状況で、今度は誰かがいる教室を開けてわざわざ聞く――極度を超えた人見知りの少女にしてみれば心臓が爆発しそうな行動、とても出来ない。 せめて誰かがこの近くを通ってさえくれれば――。 足音。 少女は思わず立ち上がってしまった。
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