図書委員さんが決まりました

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「それでは図書委員は彼女に決まりました」 「何か私に決まったみたいなんで、私の事は図書委員さんと呼んで下さいね?」  担任の宣言でニコニコと席を立ち、図書委員就任の挨拶をする少女。クラスの、主に男子達の熱烈な拍手に女子はドン引き。  その日の授業が終わると彼女は何を思ったか、鞄を持ってテケテケと図書室へ。図書室に到着するまでの間に何故か男子から彼女への差し入れが次から次へと。何と親切で優しい人達なんだと思いながら、親切を精一杯受け取るも両手が塞がっていて、どうにも身動き出来ない状態。  それに見兼ねて気を利かせた大きい手提げの差し入れをした男子が、彼女の両手から差し入れを引っ張り出し手提げに詰めていく。やっと両手と視界が差し入れから解放されると手提げの男子にお礼を言い、その手提げを受け取り再び図書室に。  この関連の彼女と彼女の周りの行動で分かったと思うが、彼女は異様にモテている。だが、彼女はモテている自覚は全くなく、皆を親切で優しい人達だと思い何故男子ばかりが自分の周りにいるのか本気で不思議がっている、いわゆる天然キャラ。  周りはそんな彼女の天然行動に癒され、女子も憎めない天然系癒しキャラとして知らず知らずの内に立場を確立していた。  そんなこんなで図書室に着いた彼女はいつもの感覚でドアを開ける。ドアを開けると何人かの生徒が集まっていて、全員の目が一斉にドアを開けた彼女に向いた。 「あの~、図書委員一年はここで集まるので合ってますよね?」  恐る恐る自分に目を向けている生徒達に尋ねると案の定、彼女のファンの男子達が椅子やらジュースやら取り出して、手提げや鞄を彼女から受け取り運びだす。 「ささっ、どうぞ!ここで合ってるんで、こちらの椅子に座って下さい!」  まるでホストの様なポーズでかいがいしく彼女をもてなす図書委員の男子達。その男子達を白けた目線で眺める女子の構図は、一種異様な光景となって図書室に再現されていた。 「お前ら、ちょっと冷静になろうか?」  図書顧問の教師と話していた上級生が苦笑しながら振り返り、締まりのない表情で彼女に尽くしている男子達を何処からか持ち出して来た分厚い本で、一人ずつ頭をいい音出して叩いていく。 「君も嫌なら遠慮なくいいなよ?こいつらは馬鹿だから言わないと調子に乗って図々しくなってくるから」
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