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それは、少し不可思議な光景だった。
オープンカフェの円卓に、4人の女性が座っている。
3人は、東洋人だが、1人は現地人にも見える。
何より不可思議なのは、2人は殆ど話さずに、ただ食べており、1人はやたら話している事だった。
B子
「じゃあ、橘さんはイタリアに来るの、初めてでは無いんですね」
響子
「ええ、以前ヨーロッパを廻った時に…」
B子
「今回は、イタリアだけ…ですか?」
響子
「その予定です」
響子は、ワインを飲みながらB子との話を、楽しんでいた。
でも、他の2人は違った。
A子
(また、この人に会う何て…)
(大体、何で宿泊ホテルを教えたりしたんだろう!)
何時もは冷静沈着なA子が、苛ついているのはC子にも伝わった。
正直、C子もロビーで響子を見た時、かなり驚いた。
そして、B子が宿泊ホテルを教えた事や、楽しそうに響子と話している姿に、呆れていた。
響子
「じゃあ、同じフライトの客室乗務員さんは、皆同じ所に泊まる訳では、無いんですね」
B子
「はい、結構バラバラですよ」
響子
「ところで…」
響子が、本題を切り出そうとした時…イタリア人男性が声を掛けてきた。
所謂、ナンパだ。
こちらでは、ナンパは当たり前の事。
寧ろ、女性に声を掛けない方が失礼なのだ。
響子は、内心舌打ちをしたが…直ぐに考えが変わった。
やんわりとナンパを断りながら、自分が飲んでいたワイングラスを差し出したのだ。
他の3人は、驚いていた。
男性は、にこやかにグラスを受け取ると、ワインを飲み干し去って行った。
グラスを返してもらうと、響子はバッグから小さな箱を取出し、何やら始めた。
3人は、ただ黙って響子を見ていた。
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