ミラノ・Ⅳ

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響子は、一通りの作業が終わると、グラスを拭いた。 その後で、新しいグラスを頼み、再びワインを、飲み始めた。 B子 「あの…橘さん?」 響子 「あ、気にしないで下さい」 (そう言われても、気になるに決まってる…この人、もしかして警察関係?) A子は、思考を巡らせながら、響子をまじまじと見た。 響子 「ところで…」 響子は、本題に入った。 響子が話し掛けたのは、A子とC子で或る。 A子・C子 「何か?」 響子 「少し、お聞きしたい事が有るのですが…」 A子 (やっぱり、刑事っぽい…) 「何ですか?」 響子 「渋谷智子さんの事です」 途端に、A子とC子は顔色が変わった。 B子は、きょとんとしている。 A子 「渋谷さんの、お知り合いなのですか?」 A子の声は、上ずっており、明らかに動揺している。 響子 「ええ、まぁ…」 A子 「私達は、渋谷さんとは余り親しくは…」 響子 「一緒に行動する様な仲では、無かったと?」 A子 「そうです…」 A子は、やけに喉が乾き始めたので、ワインを頼んだ。 C子も、同様に… 一瞬にして、その場は緊張感に囲まれたが、B子だけは呑気に食事をしていた。 ワインで喉を潤した後、今度はA子が訊ねた。 A子 「失礼ですが、警察関係の方ですか?」 その言葉に、流石のB子も驚き、食事の手を止めた。 響子 「あ、違いますよ」 A子 「でも…」 響子 「いえ、御2人は今のお仕事が長い様に感じたので…」 A子 「はぁ、確かにB子よりは長く仕事をしていますが…でも…」 A子が困惑しているのを察したC子が、助け船を出した。 C子 「同じフライトは、有りましたが、特に仲が良い訳では無かったので」 響子 「そうですか…突然、質問してすみませんでした」 響子は、グラスのワインを飲み干すと、テーブルにユーロを置いた。 響子 「では、失礼します」 そのまま店を出て、通りに消えて行った。
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