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A子
「あ~、ビックリした」
A子は、大きなため息を吐くと、ワインを喉に流し込んだ。
C子
「本当に…」
B子は、相変わらず、きょとんとしている。
B子
「2人共、どうしたの?」
A子
「貴女は、知らない方がいいわ」
C子
「そうそう」
B子
「え、何で?」
A子
「世の中には、知らない方がいい事も有るのよ」
B子
「ふぅん…」
B子は、1人仲間外れにされた気分だった。
A子
「でも、あの人…渋谷さんの事を聞く為に、会いに来たのかな?」
C子
「そんな感じするけど…」
A子
「何か、気味が悪いなぁ」
C子
「うん…」
A子
「何で、今更…」
C子
「やっぱり、親戚とか友人とか…なのかもね」
それっきり、会話は途絶えた。
A子とC子は、思考を巡らせている。
B子は、呑気にデザートを食べ始めていた。
その頃、響子は…
微かに残る気配や勘を頼りに、ミラノの街を歩いていた。
時折、古い店構えの店主に何か聞いたが、大した情報は無かった。
響子
(参ったなぁ…さっきの人達、何か知ってると思ったんだけど…)
散々歩き廻り、流石に疲れたので、カフェで休む事にした。
中世の建築様式が残っている、老舗の様なカフェだった。
マスターは年配で、ウェイトレスは、エプロンドレスを着ている。
響子は、カフェオレを頼むと、このカフェは何時からやっているのか?聞いてみた。
ウェイトレスの返事は、響子を満足させた。
どうやら、このカフェは老舗で、今のマスターが3代目。
3代目になってから、裕に30年は経っているらしい。
マスターに、少し聞きたい事が有る…と、ウェイトレスに伝えた。
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