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紛失したのは、所謂『ゼラチン紙』で或る。
ドラマや映画でお馴染みの、指紋採取に使う物だ。
その日1日に、ナンパしてきたイタリア人男性の指紋を、採取していたのだった。
気休めでは在ったが…
響子
(でも、何故だろう?)
持ち去った人物は、解っている。
響子
(私は、検討違いをしているのかな?)
(犯人探しが、目的では無いなら…目的は何?)
響子は、暫く考え込んでいた。
そして、カフェのマスターから聞いた話を、思い出してみた。
『犯人は捕まっていない…事件は迷宮入り…』
兎に角、ゼラチン紙の事は気にせず、他の作業に取り掛かろうとした。
響子
(おっと、その前に何か食べよう。腹が減っては戦は…だから)
響子は、ルームサービスを頼んだ。
A子
「何で…今更、渋谷さんの事なんか…」
C子
「やっぱり、親戚関係なんじゃない?」
A子
「…うん…でも…」
その夜も、3人は高級レストランで、ディナーを嗜んでいたが…
A子とC子は、余り食事が進まなかった。
B子だけが、楽しそうに食べている。
C子
「やっぱり、私達って渋谷さんの同期だったから…かなぁ?」
A子
「確かに、同期だったけど、仲が良かった訳じゃ無いし…それに…」
C子
「ん?」
A子
「あの事は、特に知らないから…」
C子
「…でもさ…」
A子
「ん?何?」
C子
「橘さん、あの事の為にわざわざミラノまで来たのなら、知ってる事は全部話した方がいいと、思うなぁ」
A子
「そうね…」
2人の間には、重苦しい空気が流れていた。
そして、A子の心にも…
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