手がかり

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A子 「やはり…」 C子 「でも、あの事件から既に数年経っているのに、何故今更?」 響子 「仕事が忙しくて…」 C子 「そうでしたか…」 少し、沈黙が続いたが…響子が、2人の緊張を和らげ様とした。 響子 「何か、飲みます?」 A子 「じゃあ、コーヒーを…」 C子 「私も…」 響子は、コーヒーを3人分頼んだ。 正直、A子とC子は緊張感で、喉が乾いていた。 やがて、コーヒーが運ばれて来ると、各々口へ含んだ。 響子 「で、お話とは?」 A子 「実は…私達2人と渋谷さんは、同期でした」 C子 「でも、特に仲が良かった…と云う訳では無いんですが…」 A子 「渋谷さんは、真面目で仕事熱心でしたが、余りノリが良く無かった…と、言うか…」 響子 「お2人とは、性格が合わなかったんですね?」 C子 「ええ…」 A子 「フライトで、一緒になっても、余り私的な会話は有りませんでした」 響子 「同じフライト…」 再び、沈黙に成り緊張感が奔ったが…思い切った様に、A子が口を開いた。 A子 「あの事件の時も、渋谷さんと同じフライトでした」 C子 「あ、でも…」 C子が慌てた様子で、口を挟む。 響子 「でも?」 C子 「ホテルは、別々でしたし…正直、事件の事は余り知りません」 恐らく、C子は嘘を言ってはいない… C子 「ただ…渋谷さんは、おとなしい人だったので、巻き込まれたのかも…」 響子 「でも、真面目でおとなしい人が、夜中に出歩きますかね?」 A子 「それは…解りません」 響子 「では…普段渋谷さんが、どの様な服装をしていたのか?頻繁に、出歩いていたのか?教えて下さい」 A子とC子は、不思議そうな顔をした。 A子 「お友達なら、私達よりも知っているのでは?」 響子 「あ、海外での話です」 響子は、うっかり墓穴を掘る処だった。
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