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C子
「私…橘さんと同じ事、ずっと思ってた…」
A子
「え?」
ホテルに戻った2人は、C子の部屋で話していた。
本来ならば、明日のフライトに備えて早寝すべきだが、今の2人は全く眠気が無かった。
A子
「何の事?」
A子は、ミネラルウォーターを口に含んだ。
C子
「何故、あの日渋谷さんが、夜中に外出したのか?って事」
A子
「確かに、不思議よね…」
C子
「あの事件の後…私達、警察に散々事情聴取されたけど…同期で同じフライトだったのに、渋谷さんの事殆ど知らない自分が、情けなかった…」
C子の声が、霞む。
A子
「それは、私も同じよ」
それから2人は、黙ってしまった。
C子は、泣いている様にも見える。
だが、C子はミネラルウォーターを、グイッと飲むと話し出した。
C子
「あのさ、笑われるの覚悟で言うけど…」
A子
「何?」
C子
「私ね、ずっと思ってた事が有るの…」
A子
「どんな事?」
C子
「馬鹿げていると思うだろうけど…渋谷さんさ…」
A子
「ん?」
C子
「本当は、何処かで生きているんじゃないか?って…」
A子
「…」
C子
「ごめん…やっぱり、可笑しいよね…」
A子
「そんな事無いよ」
C子
「え?」
A子
「だって、現場に残っていた血痕は極微量…遺留品はハンドバッグだけ…遺体は不明…もしかしたら、生きているのかも?って、考えるのは、可笑しく無いよ」
C子
「うん…橘さんも、そう思って来たのかな?」
A子
「そうかもね…」
再び、2人は黙ってしまった。
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