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辺りは、一面濃霧に覆われていた。
響子
(いい気分では無いわね)
見回すと、直ぐに智子の姿が見えた。
A子とC子から聞いた通りの、出で立ちだ。
響子は、智子を尾行した。
智子は、迷わず進んでいるが、どんどん暗い路地へ向かっている。
響子
(この先は…)
因みに、事件当日は晴天で、月明かりが眩しかった様だ。
だが、天国でも地獄でも無い浮遊霊の世界は、何時も濃霧なのだ。
と、云っても…響子は実際天国は知らない。
地獄なら知っているが…
地獄は、一面炎だ。
それは、さて置き…
智子は、現場に着くと時計を見ていた。
響子
(やはり、誰かと待ち合わせ?)
程なくして、相手が現れた。
イタリア人男性だ。
2人は、何かを話していたが…急に智子が、踵を反した。
その途端、何処からともなくイタリア人男性が2人現れた。
つまり、相手は3人になったのだ。
明らかに言い争う男女。
どう見ても、智子が不利だった。
智子は、ハンドバッグを投げつけ逃げようとしたが、直ぐに捕まる。
顔を殴られ、口から血が跳んだ。
響子
(現場の血痕は、あれか…)
犯行を、一部始終見ていた響子は、何も出来ない自分が腹立たしかった。
だが、智子の記憶が途絶えている事の意味は、解り…その後の犯人を追った。
響子の体力と精神力は、限界に近かったが、此処で帰る訳にはいかない。
目的を果たす迄は…
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