出発

3/5
前へ
/64ページ
次へ
やがて、澄んだ女性の声が響子の耳に入った。 「○○時○○分発、○○航空ミラノ行きの便へご搭乗のお客様は…」 響子 「さてと…」 響子は、吸っていた煙草の火を消すと、搭乗口へと向かった。 ゲートを通り、機内へと向かう響子は胸騒ぎがしていた。 それは、先程の解放感に因る高鳴りでは無く、どす黒く重い胸騒ぎだった。 響子は、首から下げているクロスを強く握った。 響子は、霊感が強く心霊体験は日常茶飯事だ。 その為、いつも信頼している祈祷師に念を込めてもらった護符を、持ち歩いているが… このクロスも、同じく念を込めて貰ったモノだった。 海外に行く時は、必ず身に付ける様にしていた。 通路を通り、機内へ入ると客室乗務員が並んで立っていた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加