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鬱蒼と生い茂る森を俺と拓哉は歩き続ける。
拓哉の手には手頃な長さの木の枝。強度も確かめて、ちょっとの事じゃ折れる事はないだろう。
甘いマスクに柔らかな物腰、王子様キャラとして通っている拓哉は実は格闘大好き人間だったりする。
喧嘩もそれなりにこなしている。
「拓哉、ここに美貴さん(拓哉の姉)がいたら歓びそうだよな?」
「やめてくれ…。興奮した姉貴を宥んの大変なんだぞ?」
俺の冗談に拓哉は過去を思い出したのか、げんなりとしている。
俺自身も美貴さんに「不良受け萌えっ」と騒がれた過去がある。
まったく共感できなかったが。
「にしても、けっこう歩いたよな?」
「あぁ。一時間近くは歩いてるな」
腕にしてある時計で時間をみる。川があった場所からいまいる場所まで一時間程度経っている。
「………?」
「? どうしたよ」
急に拓哉が頻りに辺りを見渡しては首を傾げる。
「いや…、なんか嫌な感じが」
「……キングオブ王道」
「なにそれ」
「喜べ、お前の新しい名前だ」
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