遅すぎた帰還

2/117
前へ
/127ページ
次へ
「――ここは……?」  白い。  一言で言い表すとするならば、その2文字が最適な空間に、俺はいた。  見渡す限り、白、白、白。  静かなその空間に、死線を駆け抜けた主人公の煤けた紺色の衣装を身に纏う俺の存在は、限りなく不潔で、汚らわしく思えた。  俺はなぜこんなところにいるのだろう。俺はこんなところにいるべき存在ではないはずなのに。  ――さっきまで俺は、フォルス、エルマ、マリエとともにチームαとしてサーブル丘陵にいた。  地の魔帝、アースを苦戦の末撃破し、俺たちの砦とも言うべき、ツバサに帰還。  残る魔帝によるアジト襲撃を知り、アジト救出の任務を背負っている、という状況だったはずなのに……。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

417人が本棚に入れています
本棚に追加