出だしが肝心

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『……雪か』 教室の窓から空を見上げるといつの間にか雪が降り始めていた。 十二月も半ばを過ぎ、後一週間もすれば冬休みに入ろうとしていたある肌寒い平日の放課後。 本日の授業は先生方の声を子守唄にして、爆睡して過ごした。 当然、今日受けた授業内容なんてものは微塵も頭に入ってない。 昼飯も食べたかどうかも記憶が曖昧だ。しかし空の弁当箱を見るところ、一応は食ったみたいだ。 期末テストを無事通過した安堵感で一杯だった俺の頭の中は既に、冬休み迄のカウントダウンを刻むタイマーと遊びの計画を練る機能しか作動していない。他の機能はテストが終了した時点で倉庫にしまい込んで、厳重に鍵をかけたから問題ない。 冬休みまでの授業なんぞただの安眠タイムであるのは仕方ない事だと思う……と、自分に言い聞かせる。 「おい咲人~」 ボディーボードとサーフボードの違いは何か?と考えている俺の耳に聞き覚えのあるハスキーボイスが聞こえてきた。 『おや?天海君じゃないか。確かロケット花火を身体中に付けて、「俺は飛べる」って言って屋上に行ったんじゃ?』 「しねーよ!!そもそもそれは飛んでねぇよ!!飛ばされてるし!!最終的に弾けるじゃねぇか!!」 お前の生き方そのままじゃないか。弾けた人生……パンクな奴だ。  
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