出だしが肝心

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『で、何の用かな?天海君。僕は忙しい身なので大した用じゃないなら後回しにしてくれる?』 大体2、3年後なら空いてるかもしれん。 天海「年中暇人が何を言ってんだ」 失礼な。この俺の分刻みの予定は他に予定を入れる空きが無い位、多忙な身だと言うのに。 今から帰って知的な書物を解読したり、高等技術を有するコンピュータを操作したりと言った過密スケジュールを熟さなければならないんだ。後、慈愛精神溢れる僕はボランティア活動もこさなければならないんだ。 ふぅ、苦労人は大変だ。 天海「千冬ちゃんの買物の付き添いの後、漫画読んだりやゲームをして過ごすってか?いつも通りじゃん」 あっコラ。オブラートに包んだ上にフィルターを何重にも張った俺の言動を無にするな。特に妹のくだりのところ。 折角、俺は善人なんだと言うことをクラスのみんなにアピールしようとだな……。 天海「いやでも羨ましいぜ。千冬ちゃんと二人でお出かけとはな~」 『羨ましい?これだから無知は罪なんだ』 俺の妹、名前は柊 千冬。人前じゃいい子ぶってるが俺と二人っきりになった途端、悪人どころか悪魔に変貌する。 俺の私物は勝手に奪うわ、俺の長年集めたコレクションをネットで売り払うわ、俺をパシリに使うわで、もう酷いのなんのって……。 仕舞いには兄である俺を馬鹿呼ばわりだ。 あれ?思い出したら何か涙が……。  
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