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?「遅いわよ馬鹿兄貴!!」
雪が降りしきる中、やっとの思いで自宅に着いた俺にかけられた第一声は、労いの言葉では無く罵倒するものだった。
ドアを開けると我が妹、千冬が玄関で仁王立ちしていた。しかもご機嫌が宜しくないようだ。
『妹よ、兄が家に帰ってからの挨拶がお帰りなさいでは無く、侮辱の言葉とは……悲しいぞ』
千冬「うるさいわよ、馬鹿兄貴!早く出掛ける用意してよ!」
千冬、俺は今家に着いたばかりなんだ。馴れない雪道をお前の為に急いで来た俺に感謝の一言も無いのか?
千冬「帰ってくるのが遅いアンタが悪い!私を待たせるなんてアンタ何様!?」
戸籍上でも血の繋がりでもお前の兄に当たる人間だ。
って言うか何でそこまで言われなきゃならんのだ?時間は指定してなかったと思うんだが……。
千冬「私が家に着く前には居なきゃ駄目なのよ」
無茶言うな。お前より帰宅が遅い俺には無理難題ってなもんだ。
クレームならうちの担任に言ってくれ、何故か毎日俺に手伝いをさせるから遅くなるんだ。
そうだ、どうせなら千冬からも言ってやってくれ。そうすれば俺も早く帰れて嬉しいしお前にも得だろう、一石二鳥だ。
千冬「嫌よ」
『即答か』
作戦失敗か、残念だ。お前の力を借りれば説得出来ると思ったのに……。
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