出だしが肝心

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即座に着替えを済ませ玄関に着くと、帰宅してきた我が家のボス、母親の夏紀と出くわした。 夏紀「なんだ帰ってたの?」 この母にして妹あり…か。間違いなく千冬はこの母親似だ。 お帰りやただいまと言った挨拶をしない時点で何かが間違ってる気がしてならない。 この母娘は常識と言う言葉を何処かに忘れてきたのだろうか(俺に対してのみ)。 しかも帰って来て欲しくなかったと言わんばかりの言動振りに俺はただ溜め息をつくしかなかった。 母「千冬は?」 『二階には上がって来なかったからリビングじゃないのか?』 俺より妹優先か。たまには俺にも優しい愛情を僅かでも向けてほしいもんだ。 母「……病気か?」 実の息子に向かってなんたる言い草だ。俺は本当にこの人から産まれたのか? なら妹より後に産まれる弟の立場だったらどうなるんだろうか。 だが、俺に優しくする母親の姿を想像すると悍ましいものがあるので、これはこれでいいのかもしれない。 しかし三、四分で仕度を終えたのに、その間すら待ってくれない妹。氷河期並の冷たさだ。 健気に慕ってくれる妹の存在を切に願いたい。  
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