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今、俺は某駅前で西野と待ち合わせをしている。
一応、西野には『新しい服を買いたいから、ついて来てくれ』と、ありきたりな誘い文句を述べておいた。
が、実際の目的は、今の自分の格好を見た西野の反応を見ることだった。
「やっぱり止めときゃ良かったかもしれへん…」
自然とそんな言葉が漏れてしまった訳は、今のこの自分の格好にあった。
今流行っている(らしい)花柄のスカートに、白い半袖のブラウスに青いベスト。
更に、ご丁寧にウィッグまで被っている。
ざっくり言うと、女装をしている訳であって。
「くっそぉ…なんや、めっちゃジロジロ見られとる気ぃするし…」
その点では、梶原の完全なる思い込みなのであったが、実際に梶原を見ている目は、確かにあった。
「はぁ。何や西野も来ぉへんし、もう帰るか…」
ふうと小さくため息をついた時、梶原の周りをどこからかやって来た若い男数人が囲った。
「ねぇねぇ、彼女ー。君、めっちゃ可愛いねぇ」
1人の男が、梶原に話しかけてきた。
「な、何やねん!」
(もしかして、これが噂の『ナンパ』っちゅーやつか!?)
そう梶原は思ったとたん、頭の中はパニックになった。
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