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「え?何何?もしかして慌ててんの?超可愛いー」
「あぅ、あっ、えっと…」
梶原がおたおたしていると、男達の中の1人が、梶原の腕を掴んで言った。
「ねぇねぇ、これから俺らとどっか行かない?」
「えっ、あの、でも…」
梶原の頭の中に、西野の顔が浮かんだ、その時だった。
「…おい、何してんねん」
ドスのきいた声が聞こえたかと思うと、梶原の腕を掴んでいた手が離れていった。
「いっ…いたたたたあぁ!」
男の苦痛の叫びを聞いて、助けてくれた相手を見てみると、なんと西野だった。
「あ…」
「俺のオンナに、何してくれてんねん」
そう言う西野の目は、梶原が見たことがないくらい恐ろしいものだった。
が、それも自分のためなのだと思うと、梶原には、また違って見えたのだが。
「ちっ」
周囲の目も気になり出したのか、力任せに掴んでいた西野の腕を振りほどくと、男達は人混みに紛れて、遂に見えなくなった。
「…こっち」
ぽかんと、あたかも傍観者かの様に眺めていた俺の腕を引っ張ると西野は、特に何も言わず、近くにあった喫茶店へと入っていった。
そこで、俺を椅子に座らせると、少しの間があって、西野が口を開いた。
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