上辺だけなら

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道を歩けば、可愛い女の子に奴が噂されるのなんて、日常茶飯事。 「ね、彼方さんじゃない…?」 「隣は…、客?」 それに対して、あたしは何も言わない。あたしの中で晴紀は『彼方』じゃない。 源氏名を変えたことに、じゃない。わざわざ、『彼方』にした意味に気付きたくないだけ。 客に見られてもしょうがない。あたしだって、水商売なんだから。 でも、お金を落としてるのは、どちらかと言えば晴紀だけど。 「行こうか」 何にも気づかない振り。上手いのは、奴も同じかもしれない。
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