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「ノナといいます。田舎に住んでいましたが、その村の風習で苗字はありません。よろしくお願いします」
「みんな、仲良くするんだぞ」
マーシュの言葉を余所に、大半の生徒たちは食い入る様にノナを見ている。
その瞳からは、ノナの銀髪や、苗字がないことへの好奇心が感じられた。
一方で、ノナを全く気にも留めず、退屈そうにしている生徒が2人。
一人は、腰まである長い金髪の女子生徒。
教卓の目の前の席にもかかわらず机に突っ伏しているので、顔は見えない。
もしかしたら寝ているのかもしれない。
この席で朝から寝るとはいい度胸だ、とノナは感心した。
もう一人は、窓際の席の茶髪の男子生徒。
こちらは、寝てはいないのだが、ずっと小難しそうな本をよんでいる。
二人はノナが教室に入ってからまだ一度も目線を上げていない。
「じゃ、ノナはあそこの席に座ってくれ」
そう言ってマーシュが指差した席は、廊下側の1番後ろ。
隣にイルト、前にはユキが座っていた。
「よう」
「奇遇ね」
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