転校初日と金色の少女

3/13
前へ
/18ページ
次へ
「ノナといいます。田舎に住んでいましたが、その村の風習で苗字はありません。よろしくお願いします」 「みんな、仲良くするんだぞ」 マーシュの言葉を余所に、大半の生徒たちは食い入る様にノナを見ている。 その瞳からは、ノナの銀髪や、苗字がないことへの好奇心が感じられた。 一方で、ノナを全く気にも留めず、退屈そうにしている生徒が2人。 一人は、腰まである長い金髪の女子生徒。 教卓の目の前の席にもかかわらず机に突っ伏しているので、顔は見えない。 もしかしたら寝ているのかもしれない。 この席で朝から寝るとはいい度胸だ、とノナは感心した。 もう一人は、窓際の席の茶髪の男子生徒。 こちらは、寝てはいないのだが、ずっと小難しそうな本をよんでいる。 二人はノナが教室に入ってからまだ一度も目線を上げていない。 「じゃ、ノナはあそこの席に座ってくれ」 そう言ってマーシュが指差した席は、廊下側の1番後ろ。 隣にイルト、前にはユキが座っていた。 「よう」 「奇遇ね」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加