5=悪魔と七夕

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「あぁ…その件はそれでいい。M社の物件は、工事部長に指示を仰げ。また何かあったら、連絡先しろ」 そう言うと、毛利は携帯を切り、エンジンをかけた。 柚希は毛利が電話が終わったのを見計らって、口を開く。 『あの…お忙しい中、病院まで連れて来て頂いてすみません』 柚希は少し荒い呼吸をしつつも、申し訳なさから毛利に謝罪する。 毛利はハンドルをさばきながら、真っ直ぐに前を見つめたまま 「また日本語が可笑しいですよ?私は謝罪をして欲しい訳ではありません。この忙しい時期に社に迷惑をかけたという事で言うのであれば、それはわかりますが、私個人としては、特に迷惑とも感じてませんし、むしろ、自分の目で、竹下さんの状態を確認出来て良かったと思ってますよ」 『………はぁ……』 「で?こういう場合は何と言うんでしたっけ?」 少し小馬鹿にしたように毛利は柚希に問い掛ける。 『えっと……ありがとうございました…』 それを聞いた毛利は、ふわりと笑って 「よく出来ました」 と柚希の頭を撫でた。
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