5=悪魔と七夕

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そこへ、黙って見送ればいいものを、真由子が遠ざかって聞こえないと思った柚希は、 またしても思ったことを口からポロッとこぼしてしまう。 『むぅ。お土産とかじゃなくて、手伝れたら、私だって花火見に行けるのに』 口を尖らせながら、ぼそりと呟いた言葉は、聞こえないと思っていた柚希の希望を 裏切り、真由子への耳へと届く。 それが聞こえた真由子は、それはそれは見事な冷笑を顔にくっつけて言う。 「私は、その週は、出張で社内にいないのよ。それでも手伝えと?まさか、そんな事 言わないわよね?柚希?」 真由子の出張を把握してなかった柚希は、またしても慌てて首を上下に振り、 了解の意を伝えた。 そんな柚希を見た真由子は満足したのか、自分の担当へと戻って行った。 その後ろ姿を見て、ハッとした柚希も慌てて自分の持ち場へと戻った。 戻る途中、柚希は 真由子に悪いことしちゃったな。これ終わったら、甘い物でも奢ってお詫びしよう。 そう決意すると、柚希は足を速めた。
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