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柚希の視線の先には、芝生に囲まれた少しお洒落な家が見える。
自分達の歩いている足元は、いつの間にかコンクリートからレンガへと変わり、レンガの先は、その家へと続いている。
外壁は、オフホワイトで、例えるならば、童話にでもでてきそうな可愛らしい家の造りをしている。
わぁ、こんな可愛い家あったんだ。
何回かイベントは手伝ってるけど、こんな場所があった事は知らなかった。
柚希は自分の状況も忘れて、目の前の家に見入る。
柚希が見入っている間に、毛利は懐から鍵を出し、扉を開けると柚希の腕を掴んだまま家の中へと入って行った。
『あの、部長ここってどういう所なんですか?』
柚希は自分の状況は置いといて、疑問に思ったことを尋ねる。
毛利は柚希の腕を離し、窓際へと向かいながら口を開く。
「ここは、VIPのお客様を接客する為の建物ですよ。一般のお客様は、住宅展示場等にある建物で契約をするけれども、
社長のお知り合いや、他のお得意様を接客する為に造られた建物なのです。
ですので、ここにはソファーやローテーブルの他に、キッチンや、レストルーム等も完備しており、お客様にリラックス
して頂けるようにこういった外観になっているのです。
ほら、こちらの窓から打ちあがる花火がよく見えますよ。」
そう言うと毛利は、自分が向き合っていた窓を柚希に見えるように身体をずらした。
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