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「は?」
「いやいや、だから凜の家に住むの」
翠が……俺ん家に……?
「そんなのダメに決まってるじゃない! 男女が一つ屋根の下だなんて」
頬を赤らめながら大声を上げる夢。
そんなわかりやすい反応なんてしちゃったらドSの翠は……
「え~、君は私と凜に何があると思ってるのかな~? 具体的に教えてほしいなぁ~」
「~~~~っ! とっ、とにかくHなのはダメなの!!」
今の一言でクラスが静まり返り、たちまち笑いに変わった。
なんだか今の笑いでクラスが打ち解け始めた気もする。
和気あいあいとした雰囲気でアドレス交換したり、勝手に自己紹介し始めたりと。
しかしその楽しい時間は放送が入ったことにより中断せざるをえなくなった。
生徒は体育館に移動とのこと。
「凜、行こうよ」
「そうだな、夢と久留里も、行こうぜ」
女の子のグループから二人は抜けて来て横に並ぶ。
ただ久留里だけは少し後ろに並び、学ランの裾をちょこんと掴んでいた。
「どうした、久留里?」
「私だけ」
少し間を空けて遠慮がちに話す。
「苗字、……私も名前でいいよ」
「じゃあ錦な、錦」
「それでいい」
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