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体育館に用意された椅子に腰を下ろし、校長の話を聞く。
「新入生諸君、形式張った話を聞いてくれてありがとう。 私が君達に伝えたい事は一つ。 この高校生活で……一生大切に出来るものを見つけてほしい。 これで私、虹霓高校校長の話を終える」
教頭と思われる人物が生徒を起立させ、礼をしてまた席に着かせる。
次は、在校生代表からの祝辞かな。
舞台に上がった人物に目がくぎづけになった。
軽くウェーブの掛かった艶やかな紅髪。
生徒会長、桜架 凜子さんだった。
マイクの前に立ち頭を下げる。
照明に照らされずとも、自ら発光しているんじゃないかと錯覚するほど輝かしい。
「一年生諸君、私は生徒会長の桜架 凜子だ。 まずは合格おめでとう、君達はここに居る権利を勝ち取った者達だ、誇っていい。 校長先生が先程話した通り、この三年間で大切なものを見付けてほしい。 そのために我々生徒会も尽力するとここに誓おう」
威厳に溢れ、それでいて優しさに満ちた表情。
ボキャ貧の俺にはすごいとしか言葉が出て来ない。
「では君達、一生に一度の高校生活だ。 しっかり楽しんでくれ! 以上だ」
その時、俺は自然と拍手していた。
それを見た夢と錦、翠も拍手し、最後には体育館にいた人間全てが手を叩いていた。
「では一年一組から順に教室に戻り、担任から説明を受けて本日は全て終了とします」
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